さて,中高一貫第一八期生の皆さん,中学校課程の修了おめでとうございます。いま,一人ひとりに卒業証書を授与しました。この卒業証書には校訓である「人に 愛される人 信頼される人 尊敬される人 になろう」のもとで,皆さんが仲間や先生方と過ごした近中での三年間が凝縮されています。皆さんにとって本校での中学校生活は,どんな三年間だったでしょうか。私はこの三年間,皆さんが日に日に成長する姿を見てきました。今,立派に成長をした皆さんの姿を見て頼もしく思え,とても嬉しく感じています。
三年間を振り返れば,新しい仲間との出会いや新しい教科との出会いから中学校生活がスタートしました。日々仲間とともに頑張った学習やクラブ活動,地域の方々にお世話になった稲作実習,附属中学ならではの近畿大学工学部でのサイエンス実習や医学部,農学部などの大学見学,東京方面への修学旅行,体育祭や文化祭など数えきれないほどの様々なことを経験しました。また,修学旅行や中学三年生の夏休みには留学生とともに英語による活動・交流を行うGlobal Village for Students(GVSプログラム)にも参加をして多様な文化に対する理解を深めることもできました。様々なことを経験した三年間だったと思いますが,楽しいことばかりではなかったと思います。勉強で行き詰った時もあったでしょう。人間関係で悩んだこともあったでしょう。しかし皆さんは様々な学びや経験を通して,また困難を乗り越えて,今ここに立派に成長した姿を見せてくれています。私は三年前の入学式で皆さんに,「入学をしたら,こんなことに挑戦してみよう」「将来はこんな職業についてみよう」など,将来の夢や目標を持ち,「自らこうありたい」「こういう人間になりたい」という具体的な将来像を明確にすることが大切である,それらを実行するための挑戦する気持ちと態度を持って夢の実現に近づいて欲しい,とお話しました。三年間を振り返ってみて,夢の実現に近づくことができているでしょうか。今,着実に夢に近づいていることを実感して欲しいと思います。また,その陰には皆さんの成長を見守ってくださった保護者や家族の方々のおかげがあることを忘れてはならないと思います。是非,感謝の気持ちを言葉や態度で伝えて欲しいと思います。
皆さんは今日で九年間の義務教育を終え,四月からは高等学校に進学します。皆さんも知っている通り,高校は義務教育ではありません。高校では義務教育にない新たな制度が沢山あり自己責任の割合もさらに高くなります。幸い皆さんは校内で高校生の良き姿を見ながら三年間を過ごしてきました。四月からは大きく環境が変わりますが,戸惑うことなくスタートダッシュができることを願っています。
本校は今「知的好奇心を育てること」を大きなテーマの一つにしています。社会のことや勉強のことなどで「何故だろうと不思議に思う心」「それを解決しようとする態度」「もっと深く知りたいという気持ち」のことです。皆さんはこの一年を通して修了研究に取り組み冊子にまとめ,学問探究や進路研究をすることで知的好奇心を育ててきました。皆さんにはこの気持ちを大切にして,また本校でこれまで学んだことを基盤として,次の三年間でのさらなる成長を期待しています。
近畿大学創設者であり,初代総長の 世耕弘一先生は若い時に苦学をされましたが,後に「学問が運命を開いてくれた」と話されています。まさに,中校での学習を基盤とした高校での勉強が学問のスタートになります。授業も科目数が増え難易度が上がります。進度もより速くなります。高校では今まで以上に自主的に,真剣に勉強に取り組み学問への道を探り,真の高い学力を身に付けることで自らの運命を開いていって欲しいと思います。
終わりになりますが,保護者の皆様に一言お祝いとお礼を述べさせていただきます。改めましてお子様の中学校課程の修了,中学校の卒業おめでとうございます。今日の日を迎えられ,お喜びもひとしおのこととお察し申し上げます。保護者の方々には,この三年間,陰になり日向になりお子様を支えてこられたことに敬意を表するとともに,本校の教育方針を理解していただき,物心両面から教育推進にお力添えを賜りましたことに厚くお礼を申し上げます。高校になりましても,引き続き本校の教育方針のもとで保護者の方々とともに子どもたちの成長を支援して参りたいと思いますので,よろしくお願いします。
さて,第一八期生の皆さん,今日は義務教育終了という大きな区切りの日です。全員で皆さんの門出を祝福し,喜びたいと思います。四月からはいよいよ高校生です。高校では他校から入学してくる新たな仲間とともに高等学校第一学年となります。お互いに切磋琢磨をして高いレベルで競争し,集団として大きく成長してくれることを期待しています。四月からの高校生活がスムーズにスタートを切れ,高校での三年間の日々が夢の実現に向けてさらに前進し,納得のいく時間になることを祈念して義務教育修了式の式辞といたします。
平成三一年三月一六日
近畿大学附属広島中学校東広島校
校長 前 眞一郎