「令和元年度 中学校(義務教育)修了生に贈ることば」
中学校課程(義務教育)を修了された中学校第19期生139名のみなさん、おめでとうございます。
今年度の卒業証書の授与が、新型コロナウイルス感染対策ということから、このような形でしか実施出来ないことをとても残念に思っています。しかしこれから私は、みなさんが中学校課程を修了し高校へと進学するにあたり、心を込めて贈ることば述べたいと思います。
今年は暖冬のせいか、近畿大学の校花である梅の花がすでに満開を迎えているだけでなく、桜の花も開花し始めています。校内の美しく咲いた紅白の梅の花、淡いピンクの桜の花が共にみなさんの進学を祝ってくれているかのようです。
さて、みなさんには先ほど一人ひとり中学校の卒業証書を授与いたしました。この卒業証書には皆さんが友だちや先生方、そして保護者の方々と過ごした近中での3年間が凝縮されています。本校で過ごした中学校生活を思い出し、人心共に大きく成長した自分自身を実感してほしいと思います。
今年度は学校のモットーを “Aim for a Higher Level!”「より高いランクをめざそう!」としました。どうでしょうか。みなさんは以前の自分よりランク・アップできましたか。またそれはどんなところですか。先日、今年度末の「終業のことば」でもお話ししたように、Wise Reflection(賢明な振り返り)をしっかりとしていきましょう。
また義務教育が終わるのを境に、みなさんはいよいよ社会人としての自覚を持たなければなりません。みなさんはこれから高校に進学するため、少し実感しにくいかもしれませんが、4月からは立派な社会人です。この「社会人」という言葉の意味をよく考えてください。みなさんは引き続き「勉学」を続ける道を選びましたが、世間一般には社会人として、仕事をしながら生計を立てて良い年齢になります。それは大きな責任を負うということです。自分の言動一つひとつにしっかりと責任を持ちましょう。
近畿大学の創設者 世耕弘一先生は、若い時に大変苦労をして勉学に励まれました。そして「学問が運命を開いてくれた」と話されています。これからみなさんが進学する高校では、今まで以上に責任を持って自主的に勉強に取り組んで行かねばなりません。世耕弘一先生のように努力を積み重ね、真の高い学力を身に付け、それを発信していくことで、自らの運命を切り開いてほしいと思います。
そこで私はみなさんへ、コロナウイルス騒ぎで大変なこんな時だからこそ、このことばを贈ります。
“You’ll never find a rainbow, if you are looking down.”
「ずっと下を向いていては、虹は見えないよ。」
この素敵な言葉は、イギリス出身の名優チャールズ・チャップリンの名言です。ここで言うrainbow(虹)とは皆さんにとって「目指すもの」と考えましょう。Look down「下を向く」のは、そうした目標のことをちゃんと考えずに、目先のことばかりに囚われてあたふたと生活を送ることです。
So why don’t you look up to find your own rainbow!
「自分の目指すものを叶えるために、上を向いて(目標に向かって)いこう!」
と、私からもみなさんへエールを贈りたいと思います。
終わりになりますが、本日は残念ながらご臨席いただけなかった多くの保護者の皆様に、お祝いとお礼を申し上げます。この三年間、本校の教育にお力添えを賜りましたことを、本当に感謝いたします。生徒が高校生へと進学したこの後も、引き続きご協力をどうぞよろしくお願いします。生徒のみなさんは私のこの気持ちを、お家に帰ってお世話になったお父さん、お母さん、保護者の方々へぜひ伝えてください。
さあ、今日はみなさんの新しいステージへのランクアップの日です。校訓にある「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人」になるように、みなさんそれぞれが自分の個性を生かし、自信と誇りを持ちながら、これからもたゆまぬ努力を続けてくれることを期待しています。
令和2年3月14日
近畿大学附属広島中学校東広島校
校長 橋本 晃一