“Natural Disaster”
みなさん,おはようございます。10月になりましたが、まだ暑い日が続きます。先月行われた近校祭(体育祭)はお疲れさまでした。どの団も個性を生かして、よく頑張ったと思います。またこれからは朝晩も過ごしやすくなり、しっかり学習に取り組んだり、スポーツで体を鍛えるにも、じっくり読書するにも最適の気候ですね。でも季節の変わり目で、体調を壊さないようにしてください。
さて今日は“Natural Disaster”つまり「自然災害」についてお話ししようと思います。1学期には皆さんに“Intelligence Literacy”「情報収集」やSelf-Defense”「自己防衛」の重要性を伝えましたが、それを更に具体化してお話しします。2学期の始業式でお話しした“Wise Reflections”「賢明な反省」とも併せて考えてほしいと思います。
昨年は、ここ広島県も豪雨災害で大変な被害を受けました。家が流されたり浸水したり、命の危険を感じた方もいたと思います。今年も台風の被害で千葉県をはじめ関東の広い地域で多くの家屋が損害を受けたり、停電で何日間も不自由な思いをした人が何万人も出ました。そうした自然災害(Natural Disaster)は中々個人の力ではどうすることも出来ません。
もちろん、普段から防災グッズを備えたり、ハザードマップの確認、予め風などで飛ばされないように予防すること等は大切です。ここは“Wise Reflection”で、昨年の教訓を出来るだけ生かしましょう!しかし今日はもう少し広い視野で、この問題を考えてみたいと思います。
そもそも地震や台風などは、どうしても起こりうるものなので、それを防ぎようはありません。しかし地震や津波の被害は、ある程度ですが、耐震の建物や丈夫な防波堤などを造ることで軽減出来たり、台風の進度を正確に予測して準備をしたり、また大きく見れば地球温暖化を防ぐことで台風の大きさを縮小したり、洪水の被害を小さく出来るかもしれません。 “Natural Disaster”を“Man-made Disaster”「人災」にしないようにするのは、私たち人間の役割です。
そうです。皆さんがこれから大学に進んで学ぶ学問の中には、こうした自然災害から私たちを守るための研究がたくさんあります。理系に進む皆さんは具体的にどうすれば地震を予知したり、停電しない街づくりの研究に取り組むことも出来ますし、文系に進む皆さんは、理系の皆さんが作り出した研究成果を世の中に広めるという、大きな役割を担っています。また16歳の
Greta Thunbergさんのように、国連で地球温暖化を止めるように働きかけることも出来るかもしれませんね。(毎週学校を休むと後が大変ですが…。)そうした取り組みを、私たちが皆で考えて、将来のために真剣に行うことが、延いては“Natural Disasters”「自然災害」の被害を最小限に食い止めることに繋がるのではないでしょうか。
例えば近畿大学での研究の1つに「バイオ・コークス」があります。これは私たちが普段生活している中で出てくる廃棄物を原材料に使って作るコークス(固形燃料)、つまり石炭です。具体的に言えば、お茶やコーヒーをいれたり、ミカンやリンゴを絞ってジュースを作った後の茶葉や豆かす、搾りかすはどうしますか?ゴミとして捨てて焼却しますよね。
近畿大学 理工学部 機械工学科 井田 民男(いだ たみお)先生は、この不要な「かす」を高度な技術で圧縮して、固形燃料
バイオ・コークスを開発しました。これが燃料として役に立つだけでなく、環境にも優しいことは分かりますね。まず「廃棄物がゼロ」になるという点、またこれまでゴミとして焼却していたものを利用しているので、実質燃焼による二酸化炭素の排出も差し引きするとなくなります。これはCO²の排出による地球温暖化の防止に役立ちます。今後は石炭の代替え燃料として約20%が見込まれているということです。凄いと思いませんか?私は3年前に北海道・恵庭にある近畿大学のバイオ・コークス研究所を訪問して、実験の様子を拝見しましたが、今後の実用に向けて最新の溶鉱炉を新たに設置していました。
このように皆さんの大学での研究が、これからの世界を大きく変え、自然災害を防止することに繋がるかもしれません。皆さんの研究が「天気の子」になるかもしれない。これからも自分がいま勉強していることが、将来どのような役割を果たすのかを考えながら学習していきましょう。きっと明るく楽しい未来が待っています。それを作るのは、皆さん自身なのです。
今日は“Natural Disaster”「自然災害」をテーマにお話ししました。今週末に台風18号が接近するという予報が出ています。今回も「最新で正確な情報」を入手し、「自分の身を守るための対策」を早めに行いましょう。