2019年4月11日木曜日

令和元年度 1学期始業式 学校長式辞

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皆さん,おはようございます。私はこの4月から校長に就任した橋本です。高校2年生,3年生の皆さんは覚えていると思いますが,私は3年前まで本校の教頭でした。この3年間は大阪にある同じ近畿大学の附属高等学校・中学校に勤めていました。これから皆さんと一緒にこの東広島校で頑張りますので,どうぞよろしくお願いします。

先ほど,新任の先生方をお迎えしまして,新しい年度がスタートしました。一昨日の土曜日には本校の入学式を工学部の体育館行い,新たに中学生を122名,高校生を204名迎えました。これで本校は,中学校課程391名,高等学校課程598名,中高あわせて989名で新学期をスタートすることになります。

新学期を迎えるに当たり,皆さんはこの1年の新たな目標を持ってこの場に立っていますか。新たな今の気持ちを忘れることなく,これからの一年間を有意義に過ごしましょう。

今年度はまず本校の大きな目標として“Aim for a Higher Level”(さらに高いランクをめざして)を掲げたいと思います。具体的には「知的好奇心を育て」「グローバル・リーダーとして活躍できる人」になろう,です。前任の前眞一郎先生が「ワンランク上をめざして」ということをおっしゃっていましたが,このAim for a Higher Level はさらにもう一歩それを進めた形です。

この「知的好奇心を育て」「グローバル・リーダーとして活躍できる人になろう」は,新入生の皆さんには入学式でもお話しましたが,あとひと月足らずで変わる新しい元号とも関連してきます。

皆さんも知ってのとおり,この度の皇位継承に伴い5月1日から,日本独自の文化である元号が「平成」から「令和」に変わります。メディアでも報道されていますが,これまでの元号は漢籍を出典としてきました。しかし今回初めて,日本最古の歌集である万葉集から引用されました。

ところが私は英語の教員ですし勉強不足だったので,この万葉集の歌のことを知りませんでした。そこでICT (Information and Communication Technology) を使い調べてみると,色々なことが分かりました。元になった歌はこの歌です。

「時(とき)に、初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(やはら)ぎ、梅(うめ)は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す」

口語訳すると 「時(とき)は令(よ)い(つややかで美しい)月であり、空気もきれいで、風は和やか、梅は鏡の前の美人が白粉(おしろい)で装うように花咲き、蘭は身を飾る衣に纏(まと)う香のように薫(かお)らせる。」となります。この「初春の令月にして…」の令と,「気よく風和らぎ…」の和をとって「令和」としたわけです。

この「令和」を例えば皆さんが,日本を訪れた外国人に,または海外研修に行って説明するとき,英語にするとどうなるでしょう。(新入生の皆さんは覚えていますか。)色々な解釈があるとは思いますが,外務省は“Beautiful Harmony(美しい調和)”と訳していました。

さらにこの「令和」が引用された万葉集の五巻は,梅のことを詠んだ歌集です。近畿大学の学園章が梅の花だということも,よく皆さんは知っていますね。ここにも新しい元号と私たち近畿大学学園との繋がりを感じます。

このように皆さんが,新しいことに対して知的好奇心を持ち,さらに自国の素晴らしい文化を海外に発信する力,つまりグローバル・リーダーとしての力を養うきっかけになるという意味でも,今年度は記念すべき年になると思います。

皆さん一人ひとりが持つ個性を,うまく「美しく調和」させて更なる高みへと開花させてほしいという願いを込め,この新年度,「令和元年」をAim for a Higher Level としてスタートしていきましょう。

平成31年4月8日