2017年3月7日火曜日

平成28年度 卒業証書授与式 校長式辞

梅の花は近畿大学の学園花であり,学園章にもデザインされています。今年の冬はいつになく厳しいものでしたが,そんな中でもこの冬の寒さに耐え今年も玄関前には品格高き梅の花が咲き誇りました。

春の訪れが感じられる今日のこの良き日に,近畿大学工学部長 野村正人様をはじめ多数のご来賓の方々,保護者の皆様のご臨席を賜り,第一九回近畿大学附属広島高等学校東広島校卒業証書授与式をかくも厳粛にまた盛大に挙行できますことに感謝申し上げるとともに,本校職員を代表して厚くお礼申し上げます。

さて,一九三名の卒業生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。今,全員に卒業証書を授与いたしました。この卒業証書には校訓である「人に 愛される人 信頼される人 尊敬される人 になろう」のもとで,皆さんが仲間や先生方と過ごした近校での三年間が凝縮されています。私は三年前の入学式で皆さんに,具体的な将来像を明確にし,その実現に向けた目標や方法を自ら考え,挑戦する気持ちと行動をもって夢の実現に近づいて欲しい,とお話しました。今,三年間を振り返り着実に夢に近づいていることを実感して欲しいと思います。

卒業に当たり二つのことをお話しして餞の言葉にしたいと思います。

本校は今「グローバルな社会で活躍できる人になること」を大きな目標の一つにしています。そのためには,真の高い学力はもちろん社会性やコミュニケーション力,学び続ける態度など様々なことが必要になってきます。今の世の中は我々の想像を超える速いスピードで刻々と環境が変化をしています。一月にはアメリカの大統領が変わり国際関係や経済の動きは不透明な状況です。また人工知能の発達により学び方や働き方が大きく変わる可能性もあり,人にしか出来ないことは何かを考えてみる必要があります。まさに皆さんの前には予想困難な将来が待ち受けていると言っても過言ではありません。このような状況の中で次のステージに向かう皆さんには,高い専門性を基盤として,主体的に学び続ける態度を持ち,これまでにない新たな価値を生み出す力を身に付けて欲しいと思います。そしてこれからの変化の激しい時代を生き抜いてくれることを願っています。私は皆さんにはそれが全員できることを確信しています。高校での三年間を振り返ってみてください。学習はもちろん,行事や部活動など様々な場面で頑張り挑戦する姿を見せてくれました。また,幅広い人間関係も築いてきました。おそらく全てが順調で思い通りに進んだのではなく,困難な場面に遭遇したことも数多くあったことでしょう。しかし,皆さんはそれらを乗り越え,着実に成長をして今この場にいます。皆さんには本校での貴重な経験や身につけたことを忘れず,近畿大学の建学の精神である「未来志向の実学教育」と「人格の陶冶」を基盤として,持続可能な社会を構築し,グローバルな社会で活躍してくれることを期待しています。

二つ目は,「感謝できる心を持ち続けて欲しい」ということです。皆さんの今があるのは,これまでに保護者の方々,家族,先生方,多くの仲間の支えがあってのことです。また,様々な物や目に見えない環境や制度,ルールのおかげです。『感謝するに値するものがないのではない。感謝するに値するものに気づかないでいるのだ。』と言った日本の思想家がいます。平素何気なく生活をしていると,あたかも自分一人の力で物事が進んでいると錯覚しがちですが,改めて色々な場面をふり返ってみてください。おそらくそのような場面が多々あったことに気づくはずです。人は一人では生きていくことが出来ません。私は,人は集団の中でこそ大きく成長できると考えています。そのためにも感謝するに値するものに気づき,感謝できる心を持つとともに,それらを言葉や行動で表せる人間であり続けて欲しいと思います。

終わりになりますが,保護者の皆様に一言お祝いとお礼を述べさせていただきます。改めましてお子様のご卒業,おめでとうございます。今日の日を迎えられお喜びもひとしおのこととお察し申し上げます。保護者の方々にはこの三年間,陰になり日向になりお子様を支えてこられたことに敬意を表するとともに,物心両面から本校の教育推進にお力添えを賜りましたことに厚くお礼を申し上げます。これからは同窓生の保護者というお立場で,引き続き本校の発展を見守って頂きますよう,よろしくお願い申し上げます。

さて,卒業生の皆さん,今日は新しいステージへの旅立ちの日です。全員で皆さんの門出を祝福し,喜びたいと思います。皆さんには無限の可能性が秘められています。それぞれの新しい環境の中で,本校第一九回卒業生として,自信と誇りを持って力強く前に向かって進んでください。校歌の歌詞にある「めざすもの 学びのこころ」「めざすもの 技の競い」「めざすもの 平和のこころ」を贈る言葉とし,また,将来に幸多きことを祈念して,式辞と致します。

平成二九年二月二八日
近畿大学附属広島高等学校東広島校
校長 前 眞一郎