2019年6月5日水曜日

令和元年度 6月全校朝礼 学校長講話 “Self-Defense”

みなさん,おはようございます。
まず今日は,先日川崎市で起こった痛ましい事件についてお話します。スクールバスを待っていた小学生ら20名が殺傷された事件です。まずはお亡くなりになった小学生と保護者のご親族やカリタス小学校,外務省関係の方々にも,心からお悔やみを申し上げます。同じ子どもや生徒を持つ身として,本当に言葉もありません。またこの事件を報道などで知り,登下校の際に不安になった生徒のみなさんや保護者の方もいるでしょう。本校でもスクールバスを運行しており,とても他人事とは思えません。ただ,今回の事件はほぼテロ行為のような様相で,正直私もどのように防ぐべきかという点については考えあぐねています。

しかし,何よりも大切なことは,みなさんのかけがえのない命です。どのような状況でも,みなさんは,まず自分の身の安全を考えてください。危険回避の行動をとってください。その場から離れる,声を上げて助けを求める,周囲のお店や民家に逃げ込む,など臨機応変に対応してもらいたいと思います。自分の身を守ると同時に,周囲にも気を配って,みんなが安全な登下校を心がけてください。

さて,今回はこのことに関連して“Self-Defense”(自己防衛)について話をしましょう。先月,5月の全校朝礼では“Intelligence Literacy”(情報収集能力+知性)についてお話しました。「何事にも興味・関心を持ち、正確な情報を得てそれを分析することによって,自分の判断力を磨き,トラブルに巻き込まれず,有意義な生活を送ってほしい」という内容でした。これは今回の“Self-Defense”(自己防衛)とも非常に関連することなので,記憶が曖昧な人はホームページの近校ブログで私の話を確認してください。「正確な情報を,できるだけ多く収集する」ことは,「自分の身を守る」ことに直結するのです。

例えば,昭和の時代(30年以上前)に比べると,最近は台風による被害は少なくなっています。これは一つには科学技術の進歩によって気象衛星からの情報がいち早く私たちの元に届くようになり,災害に備える準備が出来ているからです。地震予知や津波情報なども精度を増してきており,私たちの安全に役立ってきています。気象庁からの新たな「大雨・洪水警戒レベル」の運用も始まりました。つまり「情報収集」が「自己防衛」に直結するのです。

一方で,科学技術だけでは防ぎようのないこともあります。昨年の豪雨災害では広島県でも甚大な被害が出ましたが,これは予測不可能なほどの豪雨があったからです。昨年私がいた大阪でも9月に台風による風の被害が出ました。大きな木が根こそぎ倒れたり,屋根瓦や看板があちこちで吹き飛ばされました。兄弟校の近大附属高校・中学校(大阪)でも,人工芝がめくりあがったり,体育館の屋根が抜け落ちて大変なことになりました。

ここで大切なことは,私たちが知りえた情報に対して,自分なりに分析し,自分の状況に合わせて臨機応変に対応しなければならない,ということです。防ぎようのないことも起こりえます。しかし被害を最小限に食い止めるためにも,しっかりと「考えて」行動しましょう。

さて今月8日,9日には,みなさんが楽しみにしている近校祭(文化祭)が開催されます。今年のテーマは「翔(かける)~みんなではばたけ~」です。日ごろの成果を来校される方々に見ていただくとともに,みなさん自身もしっかりと楽しんでください。自分のクラスやクラブのことだけで終わるのではなく,他のクラスや学年,クラブの展示や発表にも興味を持ち,たくさん情報収集し,さらに自分を高めて羽ばたいてください。

今日は「情報を正確に収集して分析し,自分の行動の判断材料にする能力」“Intelligence Literacy”を身に着けて,「自分の身を守る」“Self-Defense”の行動をとってほしい,という話をしました。