2019年5月20日月曜日

令和元年度5月生徒朝礼 学校長講話

「Intelligence Literacy」

みなさん、おはようございます。
10日間という長いゴールデンウイークの連休も終わり、新しい元号「令和」の時代が始まりました。この連休中、みなさんは充実した生活を送ることが出来ましたか。

私は新天皇陛下が即位され、初めてお言葉を述べられているのを拝聴して、感動しました。特に「自己の研鑽に励むとともに」というくだりからは、私自身ももっと勉強をしていかねばならないという新たな決意を持たせていただけたと、大変有難い気持ちで心がいっぱいになりました。みなさんもこの新しい「令和」の節目にあたり、自分なりの新しい目標や決意を持ってみてはどうでしょうか。

さて、今日はゴールデンウイーク直前にみなさんが受講したSNS講習会について振り返りながら、少し発展したお話をしようと思います。テーマは“Intelligence Literacy”、簡単に言うと「情報収集能力+知性」です。

SNS(Social Network Service)は大変便利で、今や私たちの日常に欠かすことのできないツールになっています。しかしその使い方を間違えると、大変なことになるということを学びました。その中に、正確な情報を受け取り、また自分が発信するときも責任をもって行う、ということがあります。「~らしいよ」とか「~みたい」という曖昧な表現や間違った情報を、鵜呑みにしてはいけません。

例えば、みなさんがこんな質問をされたら、どう答えますか。

「近大附属東広島ってどんな学校ですか?」

少し頭の中で考えて下さい。自分ならこんな答えをする、とみなさんから聞いてみたいのですが、今日は時間がないので、予め2人の生徒に聞いてみました。

まずAさんは「美しい自然に囲まれた環境の中で、生徒も生き生きと勉強や部活動に励んでいる、素晴らしい学校ですよ!」と答えてくれました。ところがBくんは「僕にとってこの学校は、田舎で周りには何もなく、勉強と部活くらいしかできないような所かな…」と言っています。

みなさんはどう思いますか。

2人は間違ったことを言っているでしょうか。2人とも事実と自分の感想を述べています。ただ2人とも異なった立場からの感想を言っているので、聞いている人たちは事実と個人の感想がごっちゃに混ざってしまい、それぞれ違った学校をイメージしてしまいます。この2人に悪気はありませんし、私たちは自分で近大東広島のことを分かっているので、惑わされることもありません。でも誰かが意図的に、これから本校を受験しようとしている後輩たちに、Bくんのような話をし、近大東広島を「楽しくない学校だ」と思わせてしまったら、どうでしょう。

このように事実と意見をうまく混ぜ合わせて、利き手や読み手を自分の思いどおりに誘導する方法を印象操作とも言います。決してうそを言っているわけではないので、言っている人を責めるわけにもいきません。しかし、例えばAさんやBさんが普段からどのような言動をしているのか、どんな人なのかがある程度分かっていれば、意見を聞いても自分なりに誤解なく発言の内容を判断することが出来ます。印象操作されずに済むわけです。情報を正確に得るためには、得ようとする情報の関連事項に興味、関心を持つこと、そして知的好奇心を持つことも大切になってきます。

例えば昨年、「グローバル人材育成プログラム」でUCLAに行った高校生もいると思いますが、「グローバル人材」ってどんな人のことを言うのでしょうか。直訳すれば「世界的な人材」となりますが、どんな人かは説明しにくいですね。何となく分かっているようで、実は一般的に定義が難しいことも、身の回りにはたくさんあります。この研修に関しての「グローバル人材」とは、「自分だけのことを見るのではなく、世界的な視野に立って物事を考えたり、行動できる生徒」という意味でしょうか。またUCLAってどんな場所ですか。大学だということは分かっても、どんな研究をしているのか、なぜ有名なのか、そもそもUCLAはUniversity of California at Los Angeles の略で、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校って知っていましたか。素晴らしい体験ができるこの研修プログラムについて、もし興味が湧いた人がいれば、ぜひ調べて自分のintelligence(情報収集能力+知性)を高めましょう。

今日、私がみなさんに言いたいことは、この「情報を正確に収集して分析し、自分の行動の判断材料にする能力」“Intelligence Literacy”を習得するよう努力し、トラブル巻き込まれず、自分の将来の目標に向かって頑張ってほしいということなのです。
高校3年生は特にこの“Intelligence Literacy”を有効に使い、目標を持って大学入試やその先に待っている就職についてもよく考えながら、勉学に励んでください。