2014年2月28日金曜日

平成25年度 卒業証書授与式

平成25年度 卒業証書授与式式辞

「梅花霜雪を経て開く」。自然の厳しさを経て,春いちばん,品格高き花が咲き開きます。梅の花は近畿大学の学園花であり,学園章にもデザインされています。今年も冬の寒さに耐え,梅の蕾もふくらみはじめ,ここうめの辺にも春の息吹が感じられる頃となりました。今日のこの良き日に,近畿大学工学部長 京極秀樹様をはじめ多数のご来賓の方々,保護者の皆様のご臨席を賜り,第16回近畿大学附属広島高等学校東広島校卒業証書授与式が,かくも厳粛にまた盛大に挙行できますことに感謝申し上げるとともに,本校職員を代表して厚くお礼申し上げます。

さて,203名の卒業生の皆さん,卒業おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。今,全員に卒業証書を授与いたしました。この卒業証書には校訓にある「人に 愛される人 信頼される人 尊敬される人 になろう」のもとで,皆さんが仲間や先生方と過ごした近校での3年間が凝縮されています。納得のできる3年間だったでしょうか,輝くことのできた3年間だったでしょうか。卒業証書を手に,改めてこの3年間を振り返り,心身ともに立派に成長した自分自身の姿に自信と誇りを持ってほしいと思います。

卒業に当たり,2つのことをお話しして餞の言葉にしたいと思います。
私は,昨年4月に本校に赴任をしてきました。つまり,皆さんとの付き合いはわずか1年足らずということになります。この1年,皆さんの真剣に進路実現に取り組む姿,部活動でのリーダーシップ,文化祭や体育祭での活躍など多くの場面で本校最高学年としての自覚と誇りをもった姿や行動に接することができました。このような皆さんの姿を見るたびに,私は皆さんを頼もしく思い,嬉しく,誇らしく思ったところです。また,皆さんの頑張る後姿を後輩に見せてくれたことで,本校のよき伝統を引き継いでくれたことにも感謝をしています。

皆さんはまさに今,この近校を巣立とうとしています。今の世の中は価値観が多様化してきており,混沌とした状況であるといっても過言ではありません。一方でグローバル化や情報化も想像以上に速いスピードで進んでいます。このような状況の中でこれからの皆さんの人生の全てが順調に,自分のイメージ通りにいくとは限りません。先日の小保方晴子さんのSTAP細胞の発見に関するエピソードでも感じましたが,人は,困難な場面に遭遇した時にその真価が問われ,それを乗り越えることで,さらなる成長をすることができるのだと思いました。皆さんには近校での3年間で身につけたことを十分に活かし,「人格の陶冶」と「未来志向の実学教育」という近畿大学の建学の精神を基盤として,「グローバルな視野」と「高い志と夢」をもった広島県を内外から支え,日本の将来を担う人材に大きく成長してくれることを期待しています。

2つ目は,「感謝できる心を持ち続けて欲しい」ということです。皆さんの今があるのは,これまでに保護者の方々,家族,先生方,また,多くの仲間の支えがあってのことです。また,色々な物や目に見えない環境や制度,ルールのおかげです。『感謝するに値するものがないのではない。感謝するに値するものに気づかないでいるのだ。』これは,思想家であり実業家でもあった中村天風の言葉です。平素,何気なく生活をしていると,あたかも自分一人の力で物事が進んでいると錯覚しがちですが,改めて色々な場面をふり返ってみてください。おそらく,そのような場面が多々あったことに気づくはずです。これからも「感謝するに値するもの」に気づき,「感謝できる心」を持つとともに,それらを言葉や行動で表せる人間であり続けてほしいと思います。

終わりになりますが,保護者の皆様に一言,お祝いとお礼を述べさせていただきます。改めましてお子様のご卒業おめでとうございます。今日の日を迎えられ,お喜びもひとしおのこととお察し申し上げます。保護者の方々には,この3年間,陰になり日向になりお子様を支えてこられたことに敬意を表するとともに,物心両面から本校の教育推進にお力添えを賜りましたことに厚くお礼を申し上げます。これからは,同窓生の保護者というお立場で,引き続き本校の発展を見守って頂きますよう,よろしくお願い申し上げます。

さて,卒業生の皆さん,今日は,新しいステージへの旅立ちの日です。全員で皆さんの門出を祝福し,喜びたいと思います。皆さんには無限の可能性が秘められています。それぞれの新しい環境の中で,近畿大学附属広島高等学校東広島校第16回卒業生として,自信と誇りを持って力強く前に進んでください。校歌にある「めざすもの 学びのこころ」「めざすもの 技の競い」「めざすもの 平和のこころ」を贈る言葉とし,また,将来に幸多きことを祈念して,式辞と致します。

 平成26年2月28日
   近畿大学附属広島高等学校東広島校
   校長 前 眞一郎