さて,先週の24日(水)には,全国一斉に中学3年,小学校6年を対象に「全国学力・学習状況調査」が実施されました。もちろん,本校の中学3年生も受験しました。高校生はすでに受験をしていますし,中1,中2の皆さんも来年,再来年には受験することになります。内容は,国語と数学で基礎・基本の知識や技能を問うA問題と実生活の様々な場面での活用や課題解決のための構想を立て実践し評価や改善をする力を問うB問題があります。新聞等で問題を見たり解いたりした人もいると思います。私は数学を教えていましたから,毎年数学の問題を見て,興味をもって解いています。数学Bで面白い問題があったので紹介をします。
問題は,「どのような長方形が美しいと思うか,長い辺が短い辺の何倍くらいのものが美しいと思うか,をクラスでアンケートをして棒グラフにまとめた,グラフの読み取り問題です。」皆さんは,どのような形の長方形が美しいと思いますか?
長方形には色々な形がありますが,この問題のアンケート結果では,長い辺が短い辺の1.5倍~1.7倍の長方形を美しいと思う人の割合が最も多くなっていました。実は,長い辺が短い辺の約1.61倍位の長方形が美しくバランスの良い長方形であるといわれています。少し難しい話になりますが,厳密には(1+√5)/2 倍,これを小数に直して約1.61倍,ということになっています。この値は,高校生の人にはわかりますが,2次方程式 x2-x-1=0の解の1つになっています。この1:1.61の比を黄金比,黄金分割などと言って日常や芸術,また自然界にも色々とみることができます。先ほどの美しい長方形は,はがきやコピー用紙の縦と横の比もだいたいこの割合になっています。
コピー用紙の2辺の比は1:1.41(1:√2)になっていて(白銀比という),A3のコピー用紙は半分に折ればまた同じ形の(相似の)A4長方形となり,さらに折るとまた同じ形の(相似の)A5の用紙になります。当たり前と言えば当たり前ですが,ここにも数学が潜んでいたことを知ると感動ものです。図形では,本校の梅の花を象徴した校章,バランスのとれたきれいな形をしていますが,花弁の頂点を結ぶと5角形となります。実は,正五角形の中にも辺と対角線の比として先ほどの黄金比を見ることができます。先日の問題にもありましたが,ギリシャにあるパルテノン神殿(建築物)にもこの数字が潜んでいます。是非,興味のある人は,インターネット等で,黄金分割,黄金比,正五角形,さらに高校2年生以上であれば数列の勉強をしたと思ますが,フィボナッチ数列などを検索してみてください。今,私がお話をしたことに関して,興味深い話が沢山書いてあります。
皆さんはこれから授業で色々なことを学んでいきますが,基本的な知識や技能を身に着けることはとても大切なことですが,単なる暗記にとどまらず,さらにこれらが身近な日常とどうかかわっているのか,どのようなことに活用されているのか,また,自分はどのような場面で活用できそうなのか等,いわゆる「活用力」や「応用力」についても意識をしていく必要があります。このような気持ちで勉強をしていくと,ひょっとしたら苦手だった科目や嫌いだった科目も楽しく学べるようになるかもしれません。今日は,数学の話を通して,皆さんに「基本的な知識や技能」をベースにさらに「活用力」を身に着けてほしいというお話をしました。